音楽を超越した21世紀型ペアダンス WCS(ウエストコーストスイング)
若い時に渋谷区に住んでいた時期があり、年配の諸氏に混じって始めたおかげで、かろうじて新宿・歌舞伎町の「ステレオ、オデオン、ランデブー」といったダンスホールが華やかなりし時代を経験できたのは、今にして思えば幸運でした。
今から40年以上前(80~90年代)ソロで踊るディスコとは別にイギリススタイルのいわゆる社交ダンスもブームになりました。東京では競技ダンスへの受け皿としてダンスホールができ民間の教室だけでなくダンスサークルが各地で作られました。
都内のボールルームを踊るダンスホールは新宿のオデオン、ステレオ、ランデブー、鶯谷の新世紀、有楽町の東宝、横浜の白馬車。この場所を中心にダンス・ソサイエティは形成されていきました。
新宿を起点とする当時の中心は“城西地区(=練馬~中野~杉並~渋谷)”が最大エリアで山のようなサークルが乱立。特に中野サンプラザでヤングサークルなる若者を主体にしたサークルが多数活動していました。
インターネットがなかった時代、情報は紙に頼るしかない。1985年創刊の「ダンスファン」や「ダンスビュー」は情報の入り口で、ペアダンスはいわゆる社交ダンス一択だったのです。
スロー、クイック、タンゴ(コンチネンタル)、ワルツ、ウインナーワルツのモダンダンスとルンバ、チャチャ、サンバ、ジャイブ、パソドブレのラテンダンスという10DANCE(正式種目)と共にパーティでは簡単なダンスとしてジルバが踊られていました。
正式と書きましたが、このダンスの一部はアメリカのダンスからイギリスのスタイルに組み込まれて作られたもの。でもその辺の情報は日本には一般には入っていなかったのです。
そのような経緯から音楽はイギリスの競技スタイルに合わせるため、簡素で平坦なアレンジで提供されました。
この音楽の陳腐さが若者の社交ダンス離れにつながり、ブームを下火にさせる原因の一つになっていきました。
日本の踊りは阿波踊りなどで分かる通り”音楽あってのダンス”。オリジナルや良い音楽アレンジで踊るからこそダンスも映えます。
当時の日本の歌謡曲では社交ダンスのリズムで踊れるものは少なかったことも、社交離れの原因の一つでした。
サルサという音楽と共に比較的簡単なダンスとして90年NYでON2サルサが大ヒットしました。エディー・トレスとその教え子フランキーマルチネス、シーオンがNYのクラブシーンで脚光を浴びてTVでも放映されていたUSAのダンスシーン。しかし、情報が少ない時代日本に入ってくるのはその10年位後。音楽とダンスを違和感なくセットで楽しめる時代が来る前に社交ダンスはお年寄りのダンスとしてブームが去っていったのです。
2025年 JPOP KPOP をはじめ巷ではPOPSの音楽やR&Bがあふれています。
でもオリジナルの音楽をもとにペアダンスを楽しむ文化は消えてしまいました。
音楽と楽しめるダンスと言えば、巷のHIPHOPなどで踊れるソロダンスになってしまっています。
ー でも、実は現代には音楽スタイルを超えたどんな流行歌でも踊れるダンスがあるのです。
それは21世紀になって古いSWINGから進化したWCS(ウエストコーストスイング)ダンスです。
今日アメリカや欧州、ロシア、オーストラリア、韓国、シンガポールで広まっているダンス。
これは、音楽を原曲のままや音楽に理解のあるアーティストによるアレンジで踊れる唯一の
ダンスです。
JAZZ, BRUCE, R&B, POP, JPOP, KPOP 店先で流れるどんな音楽でもダンススタイルをアレンジして即興で踊ってしまえます。
ED SHEERAN, BRUNO MARS, LE SERRAFIM, BTS, 藤井風, Ms Green Apple, MISIA,宇多田ヒカル、YOASOBI、米津玄師、POPシーンやアニメや映画の曲でも、昨今流行りのAIのJAZZアレンジでも、なんでも踊れてしまいます。
でも退屈なチープなものは避けてください。昔でも今の曲でもいい。ノリのいい、グルーブ感のある曲、センスの良いCOOLな曲のほうがWCSには合います。
WCSのBASICステップはありますが、即興性が高くダンスのフィーリングはその人の持ってるスタイルのものを使って構わないのがこのダンスのよいところです。
WCSは年齢を問わず踊れるダンスです。
依然の社交ダンスや一部のラテンダンスのように、“踊る曲やダンススタイル、男女のペア”といった限定された狭い志向に縛られない “開かれたダンスシーン” が広がる世の中であってほしいと思います。

